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変動金利が上がったら返済額はどうなる?4つのシナリオで住宅ローンを試算してみた
住宅ローンを組む人の多くが選んでいるのが、固定金利より低い金利で借りられる「変動金利」です。一方で、「この先、金利が上がったら返済はどうなるの?」という不安を持つ人も多いのではないでしょうか。
この記事では、AnyLabの住宅ローン返済シミュレーターと同じ計算方法を使い、金利の上がり方を4つのシナリオに分けて、毎月の返済額と総返済額がどう変わるかを独自に試算しました。あわせて、最初から固定金利で借りた場合とも比べています。
- 3,500万円・35年・変動0.5%で借りると、金利が変わらなければ総返済額は約3,816万円
- 5年後に0.5%上がると、毎月の返済額は約6,800円増え、総返済額は約245万円増える
- 毎年0.25%ずつ2.5%まで上がると、毎月の返済額は最大で約2万8,000円増え、総返済額は約4,767万円に
- このケースでは、最初から固定1.8%で借りた場合(約4,720万円)より総額が多くなる
変動金利と固定金利の基本
変動金利は、市場の金利の動きに合わせて、借りている間に金利が見直されるタイプです。一般的に半年ごとに金利が見直され、返済額は5年ごとに見直される仕組みが多く採用されています。固定金利より低い金利で借りられることが多い反面、将来の金利が上がれば返済額も増えるリスクがあります。
固定金利は、借りたときの金利が返済終了まで(または決められた期間)変わらないタイプです。変動金利より金利は高めですが、返済額がずっと変わらないため、家計の計画を立てやすいのが特徴です。
つまり、変動金利を選ぶということは、「今の低い金利」というメリットと引き換えに、「将来の金利上昇」というリスクを自分で引き受けるということです。そのリスクがどれくらいの大きさなのかを、具体的な数字で見ていきましょう。
試算の条件と4つのシナリオ
試算の条件は次のとおりです。
- 借入額:3,500万円
- 返済期間:35年(元利均等返済、ボーナス払いなし)
- 当初の金利:変動金利0.5%
- 金利が変わったら、その時点の残高と残りの期間で毎月の返済額を計算し直す
そのうえで、金利の動き方を次の4つのシナリオに分けました。
| シナリオ | 金利の動き |
|---|---|
| A:据え置き | 35年間ずっと0.5%のまま |
| B:一度だけ上昇 | 6年目から1.0%(0.5%上昇) |
| C:ゆるやかに上昇 | 毎年0.1%ずつ上がり、11年目以降は1.5% |
| D:しっかり上昇 | 4年目から毎年0.25%ずつ上がり、11年目以降は2.5% |
どのシナリオが現実になるかは誰にもわかりません。ここでは、「もしこうなったら」という目安として見てください。
試算結果:返済額と総返済額の変化
| シナリオ | 1年目 | 6年目 | 11年目以降 | 総返済額 |
|---|---|---|---|---|
| A:据え置き | 90,855円 | 90,855円 | 90,855円 | 約3,816万円 |
| B:一度だけ上昇 | 90,855円 | 97,672円 | 97,672円 | 約4,061万円 |
| C:ゆるやかに上昇 | 90,855円 | 98,128円 | 104,602円 | 約4,306万円 |
| D:しっかり上昇 | 90,855円 | 101,551円 | 118,589円 | 約4,767万円 |
※毎月の返済額は各年の金額。総返済額は1万円未満を四捨五入。5年ルール・125%ルールは考慮していません。
シナリオBでは、6年目に金利が0.5%上がると、毎月の返済額は約6,800円増えます。総返済額は据え置きの場合より約245万円多くなります。0.5%という上昇幅は小さく見えても、残りの約30年間にわたって効いてくるためです。
シナリオCのように毎年0.1%ずつ上がっていくと、毎月の返済額は11年目に約10万4,600円になります。当初より約1万3,700円の増加です。総返済額は約490万円増えます。
シナリオDでは、金利が2.5%まで上がり、毎月の返済額は約11万8,600円になります。当初の約9万円から約2万8,000円の増加です。総返済額は約4,767万円となり、据え置きの場合より約950万円も多くなります。
固定金利で借りた場合との比較
では、最初から固定金利で借りていたらどうだったでしょうか。仮に全期間固定金利1.8%で借りた場合と比べてみます。
| 借り方 | 毎月の返済額 | 総返済額 |
|---|---|---|
| 固定1.8%(35年間ずっと) | 112,382円 | 約4,720万円 |
| 変動・シナリオA(据え置き) | 90,855円 | 約3,816万円 |
| 変動・シナリオC(1.5%まで上昇) | 90,855円→104,602円 | 約4,306万円 |
| 変動・シナリオD(2.5%まで上昇) | 90,855円→118,589円 | 約4,767万円 |
金利が据え置き、またはゆるやかな上昇(シナリオA〜C)にとどまれば、変動金利のほうが総額は少なくて済みます。一方で、シナリオDのように金利が2.5%まで上がると、変動金利の総額が固定1.8%を上回ります。
ここからわかるのは、変動と固定のどちらが得かは「将来の金利次第」だということです。そして、変動金利で借りる場合は、金利が上がったときに毎月2〜3万円返済額が増えても家計が回るかどうかが、大きな判断材料になります。
「5年ルール」「125%ルール」に注意
多くの金融機関の変動金利には、急な返済額の増加をやわらげるための2つのルールがあります。
- 5年ルール:金利が変わっても、毎月の返済額は5年間変えない
- 125%ルール:5年ごとに返済額を見直すとき、新しい返済額は前の返済額の1.25倍までに抑える
一見ありがたいルールですが、注意点があります。返済額が変わらない間も、金利が上がれば返済額のうち利息にあてられる割合が増え、元金の減り方が遅くなります。金利が大きく上がると、払いきれなかった利息(未払利息)が発生し、最終回にまとめて支払う必要が出てくる場合もあります。
今回の試算ではこれらのルールを考慮せず、金利が変わるたびに返済額を計算し直しています。ルールがある場合、毎月の返済額の増え方はゆるやかになりますが、支払う利息の総額が減るわけではない点に注意しましょう。なお、これらのルールを採用していない金融機関もあるため、契約前に確認が必要です。
変動金利で借りるなら備えておきたいこと
1. 金利が上がった場合の返済額を計算しておく
借りる前に、今の金利だけでなく「1%上がったら」「2%上がったら」の返済額を計算しておきましょう。その金額でも家計が回るなら、変動金利のリスクをある程度受け止められると言えます。
2. 低い金利で浮いたお金を貯めておく
固定金利で借りた場合と比べて、変動金利で浮いた毎月の差額を、そのまま貯蓄や繰上返済の資金にしておくのがおすすめです。今回の例なら、固定1.8%との差は毎月約2万1,500円。これを貯めておけば、金利が上がったときの備えになります。
3. 繰上返済で元金を早めに減らす
元金が減れば、金利が上がったときに影響を受ける金額そのものが小さくなります。まとまったお金ができたら、繰上返済を検討するのも一つの方法です。
4. 定期的に金利の動きをチェックする
自分の住宅ローンの金利がいつ見直されるのか、今何%なのかを、年に一度は確認する習慣をつけましょう。金利の上昇が続くようなら、固定金利への借り換えを検討するタイミングかもしれません。
まとめ
変動金利0.5%・3,500万円・35年の住宅ローンで試算すると、金利の上がり方によって総返済額は約3,816万円から約4,767万円まで、大きな幅が出ることがわかりました。
- 金利が0.5%上がるだけでも、毎月約6,800円・総額約245万円の負担増
- 2.5%まで上がると、毎月の返済額は約2万8,000円増え、固定1.8%より総額が多くなる
- 5年ルール・125%ルールは返済額の急増を抑えるが、利息の総額は減らない
- 変動金利を選ぶなら、金利上昇時の返済額を事前に計算し、浮いたお金を備えにしておく
金利0.1%の差が総額にどれくらい効くのかは、コラム「住宅ローン、金利0.1%の差で総額はいくら変わる?」でも詳しく試算しています。あわせてご覧ください。
※本記事の試算は、記載の条件にもとづく目安であり、将来の金利を予測するものではありません。実際の返済額は金融機関の商品性や契約内容によって異なります。